こんにちは、はんベぇです!
新規就農を目指し、大阪から先祖が住んでいた福井県に地方移住しました
現在、予備校に通いながら税理士試験(令和3年受験)の「消費税法」の合格を目指しています
今回の内容は、消費税法の学習記録です!
学習を開始して6ヶ月目の、2月の学習内容です
(前回の記事はこちらです)

前回の記事が長くなりましたので、分割して記載しています
今回は「簡易課税制度」の続きです
早速、内容を振り返っていきます!
少しでもこれから消費税法を学習される方の参考になれば幸いです
なぜ消費税法を学習しているの?
(こちらの記事からどうぞ!)

独学ではなく、予備校?
(こちらの記事からどうぞ!)

簡易課税制度、前回のおさらい
今回も引き続き「簡易課税制度」について振り返りたいと思います
前回までの学習で、
- 簡易課税制度の概要
- 制度趣旨
- 簡易課税制度の適用要件
- 分割等があった場合
- 仕入控除税額の計算方法
について確認しました
(こちらの内容は、この記事に記載しています!)

簡易課税制度の適用を受けることで、
「仕入控除税額 = 課税標準額に対する消費税 × みなし仕入率(90%~40%)」
として仕入控除税額を求めることができたのでした
その際に、それぞれ取引ごと(売上ごと)に6つに区分し、その事業区分に応じてみなし仕入率を乗じるという作業が必要になります
今回は、
どういった売上(課税資産の譲渡等)がどの事業区分になるか
というところから始めたいと思います
簡易課税制度の事業区分
まずは全体像ですが、合計6つの事業区分があります
また、各事業区分ごとの、みなし仕入率は下記のとおりです
- 第一種事業:90%
- 第二種事業:80%
- 第三種事業:70%
- 第四種事業:60%
- 第五種事業:50%
- 第六種事業:40%
基本的には、みなし仕入率が高いほど、納税者有利となるケースが多いです
この6つの事業区分を表にするとこのようになります
事業区分 | みなし仕入率 | 該当する事業 |
---|---|---|
第一種 | 90% | 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業) |
第二種 | 80% | 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業) |
第三種 | 70% | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業 |
第四種 | 60% | 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業「以外」の事業(飲食店業など) |
第五種 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業などを除く) |
第六種 | 40% | 不動産業 |
それぞれ確認していきます
第一種
第一種は「卸売業」です
仕入れた商品を事業者に販売する事業です
※性質・形状を変更しないで販売するものが該当します
(性質や形状を変更した場合は第三種になります)
なお、事業者に販売する事業が第一種に該当するのですが、
「人格のない社団等(PTAなど)」に販売した場合は、事業者に販売したことになります(そのため、第一種に該当します)
第二種
第二種は「小売業」です
仕入れた商品を消費者に販売する事業です
こちらも第一種と同様、
性質・形状を変更しないで販売するものが該当します
(性質や形状を変更した場合は第三種になります)
第三種
第三種は「卸売業」です
「おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定」するのですが、
基本的には「製造業」「建設業」が該当します
なお、下記の取引は第三種に該当します
- 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件に従って下請加工させて完成品とする、いわゆる製造問屋
- 自己が請け負った建設工事の全部を下請に施工させる建設工事の元請
※製造業者が製造工程等で発生した加工くず・副産物等の譲渡を行う事業は、第三種事業に該当します
第四種
第四種は「第一種から第六種のいずれにも当てはまらない事業」です
例としては「飲食店業」が該当します
その他には、
- 事業用固定資産の売却
- 第一種事業又は第二種事業を営む事業者が、不要となったダンボール等の譲渡を行う事業(当該事業者が、不要物品が生じた事業に該当するものとして処理しているときは一種又は二種)
- (第三種から除かれる)加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供
→材料等が無償支給の場合
などが該当します
第五種
第五種は「金融・保険業、運輸・通信業、サービス業(飲食店業を除く)」です
ざっくりですが「サービス関係の業務」です
※第一種から第三種に該当するものを除きます
第六種
第六種は「不動産業」です
※第一種から第三種、第五種に該当するものを除きます
具体的には、
- 不動産の仲介・斡旋
- 不動産の賃貸・管理
などが該当します
私もよく間違えるのですが、注意点としては、
- 「仕入れた不動産」の販売は、第一種又は第二種
- 「自分で建設した建物」の販売は、第三種
- 「保険業務の代行」は、第五種
に該当するので注意です
参考:フローチャート
国税庁のHPに、事業区分の分類についての「フローチャート」がありましたので、
こちらも参考に記載させて頂きます
事業区分をしていない場合
「事業区分をしていない場合」についても触れておきます
この場合は、
「その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算」
することになります
※売上金額の合計額が、第一種と第三種の合計額であった場合で事業区分がなされていない場合は、第三種(三種70%<一種90%)に該当することになります
事業区分については以上になります
この事業区分を間違えると、計算問題でかなり失点することになりますので、注意したいです
計算方法
ここからは、具体的な計算方法についてです
結論からいくと、事業区分が多いほど、計算が複雑になります。。。
1種類の事業を行なっている場合
まずは、事業者が1種類の事業を行なっている場合です
(実務では、ほとんどこのケースだと思います。。。)
「仕入控除税額 = 課税標準額に対する消費税 × みなし仕入率(90%~40%)」
1種類の事業を行なっている場合は、その事業区分に応じたみなし仕入率も1種類になるので、
その仕入率を使用して、仕入控除税額を計算します
原則(2以上の事業を行なっている場合)
続いて2種類以上の事業区分がある場合です
事業区分が2種類以上の場合は「原則計算」「特例計算」の2つの計算方法があるのですが、
まずは「原則計算」からです
この場合は「仕入控除税額」は下記のように計算します

事業区分が6種類ある場合は、計算が非常にしんどいです。。。
(手作業の場合はですが。。。)
特例(2以上の事業を行なっている場合)
続いて「特例計算」です
このケースは、事業者が2以上の事業を行なっており、
「1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める」場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます
例えば、各事業区分ごとの全体に対する売上割合が、
- 第一種:売上割合80%
- 第二種:売上割合5%
- 第三種:売上割合5%
- 第四種:売上割合5%
- 第五種:売上割合5%
- 第六種:売上割合0%
の場合を考えてみます
この場合には、第一種の売上割合(80%)が全体の売上割合の75%以上なので、第一種のみなし仕入率である90%を計算に用いて計算します
みなし仕入率を1つにして計算するので、結果的に下記の算式になります
「仕入控除税額 = 課税標準額に対する消費税 × みなし仕入率(90%~40%)」
特例(3以上の事業を行なっている場合)
計算方法の最後は、3以上の事業を行なっている場合の特例です
このケースは、事業者が3以上の事業を行なっており、
ある2種類の事業の課税売上高の合計が、全体の75%以上を占める場合には、
- その2種類のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、
- それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用
することができるという特例です
一例ですが、3種類以上の事業を営む事業者の、第1種事業及び第2種事業に係る課税売上高の合計が全体の課税売上高の75%以上を占める場合の計算式は次のとおりです

また、各事業区分ごとの全体の売上割合が、
- 第一種:売上割合60%
- 第二種:売上割合25%
- 第三種:売上割合15%
- 第四種:売上割合0%
- 第五種:売上割合0%
- 第六種:売上割合0%
の場合は、
- 「第一種」と「第二種」(60%+25%=85%≧75%)
- 「第一種」と「第三種」(60%+15%=75%≧75%)
の2つのパターンでそれぞれ計算を行います
3以上の事業を行なっている場合の特例は、2以上の事業を行なっている場合の特例が適用される場合にも適用ができます
したがって、
- 原則(2以上の事業を〜)
- 特例(2以上の事業を〜)
- 特例(3以上の事業を〜)
のいずれか「有利」な計算方法を選ぶことができます
(試験では全パターン計算する必要がある。ということです。。。)
計算方法についても以上にしたいと思います
長かった。。。
ここまでが「簡易課税制度」についてでした
制度自体はこのようなものなのですが、計算が非常に面倒です
スピードと正確性が求められますし、事業区分を間違えてしまうと失点が大きくなってしまうので、本番では特に神経質になります。。。
(「簡易」とは一体。。。)
簡易課税制度は計算問題・理論問題と、共に出題される可能性がありますので、しっかりと学習したいと思います
ここまでお読み頂きありがとうございました
それでは!