こんにちは!
はんベぇ(@hanbe_fukui)です
新規就農を目指し、大阪から先祖が住んでいた福井県に地方移住しました
今回の内容は、農業を始めるにあたって学習を開始した、
「農業簿記(農業簿記検定)」についてです
- 総合原価計算(仕損発生)
についての内容になります!
7月の試験まで2ヶ月を切りました
合格できるように、しっかり頑張りたいと思います
(農業簿記検定の申込みについてはこちらに記載しています)

少しでも、これから農業簿記の学習を始める方、農業簿記に興味がある方のお役に立てれば幸いです
それでは内容に参ります!
なぜ農業簿記を学習しているの?
(こちらの記事からどうぞ!)

(農業簿記2級についてはこちらの記事からどうぞ!)

学習スタイル
学習内容の前に、簡単に私の学習スタイルについて触れたいと思います
- 学習方法→独学
- 使用教材→資格の大原が出している「教科書」と「問題集」
(こちらです⬇︎)
上記に加えて、同じく大原が出している「過去問」で学習を進めています
それでは内容に参ります!
総合原価計算(仕損発生)
今回も引き続き、農業簿記2級の原価計算の学習を進めていきます
製品別計算の「総合原価計算」の内容になります
前回は「総合原価計算の基本的な内容」についてでした

総合原価計算は「大量生産の場合の原価計算のイメージ」でした
今回学習する内容は、総合原価計算で「仕損」が発生した場合の計算についてです
まずは仕損・減損の考え方から順に確認したいと思います
仕損・減損
大量生産を行なっていると、
- 仕損
- 減損
が発生します
「仕損」は簡単にいうと「失敗品」(不合格品)のことです
「減損」は加工中に材料が蒸発したりして「消失」することです
投入量よりも産出量の方が少ない場合は、仕損・減損が発生しているので、原価計算においてもこれらを考慮して計算する必要があります
農業簿記においては「減損」はあまり想定されていません
問題となってくるのは「仕損」が発生した場合です
そのため、ここからは「仕損」が発生した前提で進めていきます
あまり良い書き方ではないかもしれませんが、家畜を100頭育てている状態で何頭か死んでしまった場合は「仕損」が発生したと考えます
度外視法
「正常仕損費」は製造過程でどうしても発生してしまうコストのことです
※加工をしていく中で発生することが許容されるものを「正常仕損」「正常減損」といいます
したがって「正常仕損費」を、きちんと生産することができた良品(完成品・期末仕掛品)の原価に含めて計算を行います
では、この正常仕損費をどのようにして、完成品・期末仕掛品に負担させるのでしょうか
その方法として「正常仕損度外視法」という方法を用います
これは、正常仕損費を良品(完成品・期末仕掛品)に負担させる場合には、正常仕損を無視(度外視)して正常仕損費を計算しないで負担させる方法をいいます
※農業簿記2級では正常度外視法のみ学習(2021年5月現在:テキストより)
ここからは、仕損が発生したケースを下記の2つに分けて考えていきます
- 仕損が工程「終」点で発生する場合
- 仕損が工程「始」点で発生する場合
正常仕損が工程「終」点で発生する場合
まずは「工程終点」で仕損が発生する場合です
仕損が工程の終点で発生する場合は、期末仕掛品は仕損が発生していません
(期末仕掛品は工程の終点まで進んでいません!)
そのため、発生した正常仕損費は「完成品のみ」が負担します
具体例1(工程終点で発生する場合)
具体例を用いて確認していきたいと思います
※単位は円です
1.生産データ
・期首仕掛品:100頭
・当期投入量:550頭(正常仕損:50頭 期末仕掛品:100頭 完成品:400頭)
2.原価データ
・期首仕掛品(素畜費:210,000 加工費:594,000)
・当期製造費用(素畜費:1,210,000 加工費:4,860,000)
3.備考
・完成品の家畜の飼育日数は1頭当たり90日
・期首仕掛品の家畜は54日の飼育が完了
・期末仕掛品の家畜は45日の飼育が完了
・期末仕掛品の素畜費:220,000
・期末仕掛品の評価方法は先入先出法による
この場合の、
- 期末仕掛品原価
- 完成品総合原価
はどのようになるでしょうか
順番に計算していきます
①期末仕掛品原価
まずは「期末仕掛品原価」です
これは期末仕掛品にかかった「素畜費」と「加工費」の合計です
「素畜費」は例題の備考欄に記載があるとおり「220,000」です
「加工費」は少し複雑です
前回学習した、こちらの式を用います
期末仕掛品=1日1頭当たりの加工費×経過飼育日数
(※1日1頭当たりの加工費注2=1原価計算期間の加工費÷総飼育日数注1)
この式に与えられた数字を当てはめていきます
注1 総飼育日数)400頭×90日+100頭×45日+50頭×90日注3-100頭×54日=39,600日
注2 1日当たりの加工費)4,860,000÷39,600日=122/日
注3 仕損発生分です(90日は完成品日数です)
したがって、期末仕掛品原価の加工費分は、
期末仕掛品=122/日×100頭×45日=549,000
となります
結果的に期末仕掛品原価の合計は、
220,000(素畜費)+ 549,000(加工費)=769,000
となります
②完成品総合原価
続いて「完成品総合原価」です
こちらも完成品分の素畜費と加工費の合計額です
素畜費:210,000 + 1,210,000 – 220,000 =1,200,000
加工費:594,000 + 4,860,000 – 549,000 =4,905,000
合計:1,200,000+4,905,000=6,105,000
となります
基本的には、前回の仕損がない総合原価計算とほとんど同じように計算します
正常仕損が工程「始」点で発生する場合
続いて「工程始点」で仕損が発生する場合です
仕損が工程の始点で発生する場合は、完成品も期末仕掛品も仕損が発生しています
そのため、発生した正常仕損費は「完成品」「期末仕掛品」の両者が負担します
具体例2(工程始点で発生する場合)
こちらも具体例を用いて確認していきたいと思います
※単位は円です
1.生産データ
・期首仕掛品:100頭
・当期投入量:550頭(正常仕損:50頭 期末仕掛品:100頭 完成品:400頭)
2.原価データ
・期首仕掛品(素畜費:210,000 加工費:594,000)
・当期製造費用(素畜費:1,210,000 加工費:4,410,000)
3.備考
・完成品の家畜の飼育日数は1頭当たり90日
・期首仕掛品の家畜は54日の飼育が完了
・期末仕掛品の家畜は45日の飼育が完了
・期末仕掛品の素畜費:220,000
・期末仕掛品の評価方法は先入先出法による
この場合の、
- 期末仕掛品原価
- 完成品総合原価
はどのようになるでしょうか
こちらも順番に計算していきます
①期末仕掛品原価
まずは「期末仕掛品原価」です
これは期末仕掛品にかかった「素畜費」と「加工費」の合計です
「素畜費」は例題の備考欄に記載がある「220,000」ではありません
(期末仕掛品も正常仕損費を負担するためです)
期末仕掛品の素畜費はこのように計算します
当期製造費用÷(当期投入量-正常仕損)×期末仕掛品量
仕損を無視(マイナス)することことによって、分母が小さくなり単価が上がります
この単価を用いて「完成品」「期末仕掛品」に按分するイメージです
結果的に期末仕掛品の素畜費は、
1,210,000 ÷(550頭 – 50頭)× 100頭 = 242,000
となります
(ややこしい。。。)
「加工費」はこれまでと同じです
いつものこちらの式を用います
期末仕掛品=1日1頭当たりの加工費×経過飼育日数
(※1日1頭当たりの加工費注2=1原価計算期間の加工費÷総飼育日数注1)
この式に与えられた数字を当てはめていきます
注1 総飼育日数)400頭×90日+100頭×45日+50頭×0日注3-100頭×54日=35,100日
注2 1日当たりの加工費)4,410,000÷35,100日=125/日
注3 仕損発生分です(0日になります)
したがって、期末仕掛品原価の加工費分は、
期末仕掛品=125/日×100頭×45日=562,500
となります
結果的に期末仕掛品原価の合計は、
242,000(素畜費)+ 562,500(加工費)=804,500
となります
②完成品総合原価
続いて「完成品総合原価」です
こちらも完成品分の素畜費と加工費の合計額です
素畜費:210,000 + 1,210,000 – 242,000 =1,178,000
加工費:594,000 + 4,410,000 – 562,500 =4,441,500
合計:1,178,000+4,441,500=5,619,500
となります
こちらも基本的には、前回の仕損がない総合原価計算とほとんど同じように計算します
ただし、期末仕掛品の素畜費の計算には要注意です
ややこしいですが、
- 仕損が工程「終」点で発生する場合
- 仕損が工程「始」点で発生する場合
それぞれの計算について記載させて頂きました
過去問でどれくらい出題されているかわかりませんが、しっかり理解したいと思います
このあたりは人によって学習方法が違ってくると思います
あくまで私見ですが、
・工業簿記の知識がある→その知識で農業簿記のテキストが理解できるか確認
・工業簿記を初めて学習→「農業簿記のテキストの解答方法を覚える」
このような感じで学習するのが良いかと思います
長くなりましたが、総合原価計算の「仕損」が発生した場合の計算方法について記載させて頂きました
かなりややこしかったですが、何とか練習問題は解答することができました
次回はおなじみ?の「標準原価計算」についてです
引き続き頑張りたいと思います
それでは!